【特別定額給付金の申請は郵送でお願いします】
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、全国民を対象に給付が決まった、政府による特別定額給付金。
東京都港区では、このようなお知らせの入った封書が自宅ポストに届いたのは、政府発表から1か月程度過ぎた頃でした。
ちなみにこの時期は、政府が『全国の自治体の96%以上で給付が始まっている』と話していた頃でした。
今回のコロナ禍で、政策を実行に移す際に国民が期待していたスピードが、現在の政府・自治体の仕組みでは全く得られない事が明らかとなりました。
結果として、マイナンバーと銀行口座を紐付けて、今後は給付を迅速にしていく、など、電子化して業務を簡易・スピーディーにやりましょう、という話も出てきていますが、
これらは根本的な問題解決にはつながらない事は、皆さんも感じていると思います。
米国では、大統領が全国民に給付をすると発言した2週間後には、全ての銀行口座へ振込まれていました。
米国では、マイナンバーが参考にした社会保障番号(Social Security Number, SSN)が、個人の銀行口座が紐づいており、確定申告等とも連携しています。
この為、誰が税金を支払っていて受給資格があるか、資格がある場合どの銀行口座に振り込めば良いか、瞬時にシステム上で判定出来るようになっています。
この結果、米国内の銀行の預金残高は、2週間で何十兆円も増えたそうです。
【DXの視点からみた自治体の変化】
今後、私達の生活を支える自治体はどう変わっていくでしょうか?
総務省がまとめている「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及AI・ロボティクスの活用に関する研究会」では、
電子化・ペーパーレス化を短期目標に、
スマート自治体を長期目標に置いてます。
短期目標を2020年代、長期目標を2040年まで、と明確な年を置いていないことと、20年というのはずいぶん長いスパンだなぁというのが気になるところですが(おそらくもっと早く対応が求められるのではないでしょうか)
現在のプランのポイントは以下の様なモノです。
紙を使用する業務の完全電子化
システム導入に合わせて業務を変える
不要な業務は排除する
特別な理由(地方独自で差別化を図るために実施している業務がある)がある場合は、システムのカスタマイズで対応する
ほとんど事業会社が基幹システム(ERP)を導入するのと同じ観点です。
スマート自治体、というと聞こえが良いですが、
ただシステムで業務を標準化・効率化しようとしている
とも言えてしまいます。
システムを業務に合わせてカスタマイズすると、システムのアップデートの度に、追加のカスタマイズや開発をする羽目になり、より多くのお金がかかる、など痛いところもあるので、狙いとしては良いかもしれません。
多くの企業も、業務に合わせてシステムをカスタマイズ、という従来のやり方から、
標準の機能に合わせて業務をカスタマイズ、という傾向に来ています。
【変わるのはシステムではなく人間】
ここまではあくまで一般論となります。
自治体のDXを進める上記のの計画でおそらく一番大変なのは、以下の点です。
デジタルに合わせて業務や申請方法を変えなければいけない =デジタルに合わせてもらうよう、人に教え、納得してもらい、新しい業務に慣れてもらい、不満を吸い上げた上で最適な業務を目指さなければいけない
従来、システム導入で最大のボトルネックと言われてきたのは、
システムを業務に合わせてカスタマイズする為の業務要件定義です。
これが無くなるということは、システム導入のチームの作業工数は大きく減りますが、
一方で、システムに求められる要件を、利用者が理解して使わなければなりません。
乱暴な例かもしれませんが、今までWindowsのパソコンを駆使して仕事をしていた人に、
今日からMacで仕事をしてください、というのと同じです。
今まで使い慣れた既存のシステムを変え、それにそって業務を変えていくのは、時間もストレスもかかります。
(実際には2週間も毎日利用していると、ほとんどのユーザーが習熟して使いこなせるのですが、その事はあまり知られていません)
ここで重要なのは、
デジタルな側面を持ちつつも、あくまでもユーザー=人間としっかり向き合いながら、変革を推進していく人が求められている点です。
【もっと暮らしやすい未来の為にできる事】
スマートフォンで写真やpdfファイルが送れるのに、 なぜ郵送なのか?FAXなのか?
顔認証・指紋認証で本人確認が出来るのに、 なぜ写真付き身分証明証が必要なのか。
日常で「これって非効率だよね」「これってスマホでできるよね」というプロセスは全て、
いずれデジタル化されます。
あなたのアイデアで、影響のある人達を巻き込んで、未来をもっと暮らしやすくしてしまいましょう。
参考文献
地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及AI・ロボティクスの活用に関する研究会
RISEbyStudy™では2020年7月よりDX中核人材の育成と就職支援に取り組んでいます。
DX中核人材育成プログラム - RISEbyStudy™forDX の詳細は下記リンク先をご覧ください。
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